JR渋谷駅から恵比寿駅方面に10分ほど。10階建てマンションの窓や外壁に鮮やかなグラフィックアートが見える。フロアを上ると、そこは混沌(こんとん)としたアート空間。室内には壁と天井一面にキャラクターやサインがびっしりと描かれたり、人の目玉模様がデザインされたオブジェが置かれたり、フィクションの世界に入り込んだような感覚になる。
今月9日から、マンションまるまる1棟を使ったアートイベント「アートゴールデン街 by NoxGallery x Superchief x Brillia」が開かれている。舞台は2月に解体予定の賃貸マンション「セゾン代官山」(1986年竣工(しゅんこう))。マンションを所有する東京建物(東京都中央区)が広告看板を手がけるエフ広芸(埼玉県越谷市)などと共催した。3階から10階の50戸で、国内外の美術家ら約70人が作品を展示。映画「ジョーカー」の背景美術を担当したアーティストも参加している。
6階のグラフィティアートを担当した男性は「こんな機会はなかなか無い。部屋が一つ一つ違い、自分の色に染められて楽しい」。エフ広芸の藤井唯勝専務取締役は「アーティスト自身が他の作品に刺激を受け進化したり、期間中にも新しい交流があったりした」と話す。
「廃虚になる期間」をにぎわい創出に
イベントは居住者が退去した…