Smiley face
写真・図版
実際の保健室を再現したデジタル保健室(タブレットの画面)=滋賀県守山市の立命館守山中高

 立命館守山中学・高校(守山市)が今年1月から、インターネット上の仮想空間「メタバース」を活用し、次世代型「デジタル保健室」を開設している。人目が気になる生徒や不登校の生徒も相談できるため、保健室の可能性が広がっている。自治体や企業でメタバースの活用は進むが、学校の保健室では珍しい取り組みだ。

 デジタル保健室はメタバース上にあり、同校の保健室の間取りや壁紙、ソファなどを細部まで再現した。生徒は、タブレット端末を使ってアバター(分身)で入室し、顔を見せることなく、AIや養護教諭に相談する。他の生徒とアバターで交流もできる。

 アバターは喜怒哀楽など約40種類の表現ができ、音声や文字で会話が楽しめる。

 生徒「頭が痛いです」

 「頭痛には十分な水分、適度な休息をとることが大事です」

 生徒の質問に答えているのは、音声対話型AIだ。メタバース上にAIを導入し、相談内容は養護教諭が確認し、生徒たちがどんな悩みを持っているか把握できるという。

 同校では、コロナ禍以降、保健室に訪れる生徒の数が急増。それまで1日30人程度だったのが、90人ほどに増えたという。養護教諭の業務が多くなり、個室の確保もたいへんになった。

 また、最近はグループワークによる発表を重視する授業が増え、発表が苦手な生徒にとっては負担になっていた。「校内にほっとできる居場所をつくろう」と、養護教諭の山村和恵さんが、生徒たちと約1年かけて相談しながらメタバース保健室をつくった。

不登校の生徒も自宅から訪問

 「保健室に行きたいけれど…

共有