俳優の仲代達矢さん(92)にとって「青春の思い出」が詰まった場所が今年、約70年の歴史に幕を下ろした。4月に閉場した東京・六本木の俳優座劇場。若き情熱をぶつけた日々と、今も俳優として活動し続ける思いを聞いた。
渋谷から六本木へ 走って通った劇団俳優座の養成所
仲代さんは俳優座劇場ができる2年前の1952年、19歳でやはり六本木にあった劇団俳優座の養成所に入所した。
「高校を卒業したばかりでお金もなくて、知り合いに『役者でもやってみたらどうだ』と言われて。昔から不器用で学校の学芸会なんかも出たことがないんです。それでも、食っていくために役者になったようなものでしたね」
養成所の授業料を払うため…