スーパーの店頭に並ぶ調味料など=2022年1月、横浜市戸塚区

 国内起因のインフレ(物価上昇)分は、働き手にほとんど回らず――。2023年度の国内総生産(GDP)の分析から、そんな実態が浮き彫りになった。欧米ではコスト高以上の値上げをして利益を上げる企業行動は「強欲インフレ」と批判される事態に。専門家には「日本も同様の状態だ」との見方もある。

  • 物価上昇しても賃金にほとんど回らず、大半が企業収益に GDP分析

 国内起因での値上がりを示す指標「GDPデフレーター」は、コロナ禍以降も大きな上昇は見られなかった。22年度は0.8%上昇。消費者物価指数(生鮮食品を除く総合)が3・0%上昇と、第2次石油危機があった1981年度以来41年ぶりの伸びだったのとは対照的な鈍さだった。物価高の原因が主に原油などの資源高を受けた輸入物価の高騰だったからだ。

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日本のGDPデフレーターの推移と要因

 過去最高の上昇率となった23年度のデフレーターは、その多くを企業収益の伸びが占めた。働き手の賃上げ分がデフレーターの上昇に占める割合はわずか8%で、22年度の割合(52%)と比べても、大きく下がった。

 23年度のこうした国内の状態を、「『強欲インフレ』に近い」という指摘も出ている。

 「強欲インフレ」とは、「強…

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