Smiley face
写真・図版
日本公認会計士協会の本部が入るビルにある看板=東京都千代田区、江口英佑撮影

 上場企業が2024年度に公表した粉飾決算や横領などの会計不正が、過去10年で最多の56社に上ることが明らかになった。企業のガバナンス(企業統治)が機能する一方で、情報公開には課題も残っている。

 日本公認会計士協会が7月にまとめ、発表した。

  • AI開発オルツ、不正工作の「キーマン」 売り上げ水増し119億円

 協会によると、20年度に会計不正を公表した会社数は26社だったが、その後は4年連続で増えている。24年度は56社で、20年度の2倍以上となった。

 24年度に公表された会計不正のうち、8割近くが粉飾決算だ。手口別の内訳では、「架空仕入れ・原価操作」「売り上げの過大計上」で全体の4割超を占めている。

「役員は共謀を図る一方、非管理職は単独」

 20~24年度の5年間で、調査報告書が公表されている177社で起きた会計不正は184件だった。

 そのうち不正発覚の経路として最も多かったのが「当局の調査等」で47件、「内部統制等」が31件、「内部通報」が28件と続いた。一方で、調査報告書に発覚の経路が公表されないケースも26件あった。協会は「ステークホルダー(利害関係者)への説明責任の観点から、より積極的な開示が望まれる」と指摘している。

 不正への主体的な関与者については、役員が79件、管理職が56件、非管理職が49件だった。分析では、役員や管理職は共謀を図る一方で、非管理職は単独で行うことが多いとしている。

共有