石破茂首相は28日午前、衆院議員会館の岸田文雄前首相の事務所で約40分間、政権運営をめぐって岸田氏と意見を交わした。関係者によると、岸田氏は臨時国会で焦点となる政治改革をめぐり、立憲民主党などが求める企業・団体献金の廃止について、否定的な考えを示したという。
首相就任後、石破氏が岸田氏の事務所を訪れるのは初めて。面会のなかで岸田氏は日中関係をめぐり、米大統領選でトランプ氏が当選したことを受けて中国が焦りを見せているとの見方を示して、「それを利用すればいい」と助言したという。石破氏が年明けに調整している韓国訪問に関連し、岸田氏は日韓首脳が相互に往来する「シャトル外交」の継続も促した。
石破氏は26日にも首相官邸で、議員連盟の提言に訪れた岸田氏と面会したばかり。長く自民党内で非主流派の立場だったことに加え、少数与党となり、厳しい政権運営を強いられていることから、前首相である岸田氏の経験や知恵を借りて乗り切りたい考えとみられる。首相就任時、党内第4派閥のトップで党内基盤が弱かった岸田氏も、前任の菅義偉元首相のもとをたびたび訪ねていた。