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存続がとりざたされているDIC川村記念美術館=千葉県佐倉市

 印象派や戦後米国の現代美術の名品で知られるDIC川村記念美術館(千葉県佐倉市)を巡り、所有・運営する印刷インキなどの化学メーカーDIC(本社・東京)が、規模縮小・移転の基本方針を表明し、地元や美術関係者に波紋が広がっている。同社は作品売却や美術館運営の中止の可能性も排除しないといい、12月中に結論を出すとしている。企業が関わる美術館は社会の中でどうあるべきなのか。

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 「大変残念なご報告があります」。DICの方針発表から半月ほどたった9月中旬、同館での企画展の開会式で生嶋章宏館長は、あいさつの最後にこう切り出した。規模縮小の方針を伝え、「34年の長きにわたり、佐倉での活動をご支援いただいた。改めて厚く御礼申し上げます」と結んだ。

保有する384点、時価1千億円超との見方も

 同館は1990年5月、2代目社長・川村勝巳氏らが集めた作品群をもとに、同社の総合研究所敷地内の約10万平方メートルの緑豊かな庭園の中に開館した。

 モネやピカソの作品のほか、ジャクソン・ポロックやフランク・ステラら米国の現代美術の所蔵品で知られる。特に、マーク・ロスコの思索的な抽象画の連作7点を集めた「ロスコ・ルーム」は世界的にも貴重だ。

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DIC川村記念美術館とは

 所蔵作品数754点は、美術館では小ぶりな方だ。ただ、このうち同社が保有する384点の資産価値は112億円(6月末時点の簿価ベース)といい、時価だと1千億円を超えるとみる関係者もいる。土地と建物も、同社が所有。庭園には野外彫刻も配され、意欲的な企画展も含め、美術界やファンの間で高い評価を得てきた。

 開館準備室時代から在籍した元学芸員の林寿美さんは「当時は、実業家が集めた作品を見てもらいたいという思いがあり、『西の大原(美術館=岡山県倉敷市)、東の川村を目指しましょう』という熱気があった」と振り返る。

 都心からは距離があり、最寄…

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