五色の幣(みてぐら)をたてて山口祭場に向かう小工(こだくみ)や神職=2025年5月2日午前9時43分、三重県伊勢市の伊勢神宮内宮、溝脇正撮影

 強い雨の中でも目に鮮やかな五色の旗を先頭に参列者は参道を進んだ――。三重県伊勢市の伊勢神宮で、8年後に予定される第63回式年遷宮に向け、最初の祭りにあたる山口祭が2日、古式に従って営まれた。

 伊勢神宮では20年に1度、社殿を建て替える遷宮がある。山口祭は、内宮・外宮それぞれの神域の山のふもとにいる神に、用材を切り出す山へ入る許しを求め作業の安全を祈る儀式。2033年10月の遷宮まで続く33の祭りや行事の最初にあたる。

 この日は朝からあいにく雨が続いた。内宮では午前8時から、久邇朝尊(くにあさたか)大宮司をはじめ、神職や造営担当職員、祭りに奉仕する「物忌(ものいみ)」と呼ばれる童男と童女の計約75人が参列した。

 白い和傘で雨を避けながら、古式の装束を身にまとった参列者らは正宮へ。最上級の拝礼法という「八度拝」をした後、いくつかの儀式を経て、祭場へ向かった。

 徐々に強まる雨の中、青・黄・赤・白・黒の五色の幣(みてぐら)(旗)を掲げ、先頭を歩くのは、「小工(こだくみ)」と呼ばれる造営を担当する宮大工たち。素襖(すおう)という真っ青な装束に、頭には烏帽子(えぼし)を載せている。

 山のふもとの祭場では、中央と四隅に五色の幣を立て、物忌の同市立四郷小学校3年、千秋季誉(せんしゅうすえよし)さん(8)が鎌を持ち、草木を刈り始める儀式を行った。

 千秋さんは奉仕後、「雨にもまけず、風にもまけず頑張りました。楽しかったです」とコメントした。外宮でも午後、同様の儀式があった。

 現在は用材を切り出す山は長野・岐阜両県の木曽地方に移ったが、山口祭は古来通り内宮・外宮の山のふもとで行われる。

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