伊豆半島に早春を告げる河津桜まつりが1日、静岡県河津町で始まった。河津桜が見つかって70年となる今年も、8千本ものピンクの桜が町を彩る。町民が自宅の庭などで管理する桜を守るため、岸重宏町長は維持管理費を助成する考えを明らかにした。
河津桜は1955年ごろ、故飯田勝美さんが河津川沿いに1メートルに満たない若木を見つけたのが始まりとされる。早咲きの桜ではないかと、その若木を自宅の庭に植えた。初めて花を咲かせたのは66年だった。
転機は69年。伊東市の造園業、勝又光也さんが飯田さん宅の桜に魅せられ、枝を譲り受けた。接ぎ木で増殖に成功し、各地に広がった。74年に「河津桜」と命名され、91年から桜まつりが始まった。河津川の両岸約4キロに約850本ある桜のトンネルを見ようと多くの観光客が訪れる。昨年は約62万人が訪れ、今年は80万人の来場を目標とする。
岸町長はまつりの式典で「河津桜は町の発展の基礎となった。個人の維持管理に補助金を支給したい」と語った。町によると、2025年度当初予算案に40万円を盛り込む。個人を対象にし、1本につき樹木医の診断(上限4万円)や剪定(せんてい)(上限2万円)の2分の1を補助する。岸町長は「町民が大事にしてきた河津桜をこれからも維持するために少しでも町が役に立てれば」と話した。
例年より寒いため、1日現在で開いている花はわずかだ。県農林技術研究所伊豆農業研究センター(東伊豆町)は川沿いの二分咲きを26日と予測している。見頃の七分咲きになるのは2月末~3月上旬ごろと見込む。問い合わせは町観光協会(0558・32・0290)。まつりは28日まで。