福島県立会津農林高校(会津坂下町)で17日、「そば食堂」が始まった。生徒たちが栽培したソバを自ら調理して販売する取り組みで、今年で3年目。この日を含め、年内5回開催されるが、すでに予約で埋まっている人気ぶりだ。
取り組むのは地域創生科の2年生。2023年4月、耶麻農業と会津農林の2校が統合し、新生・会津農林になった際にできた学科で、会津の伝統を守るのが目的の一つだ。
そば食堂は調理設備の制約から毎回30食限り。ソバは会津在来の品種で、強い歯ごたえが特徴だ。
「たっぷり食べたい」という要望に応えて、徐々に量が増え300グラムに。これにかき揚げが付いて1千円。全5回分のチケットを6月2日に販売すると、あっという間に150食が完売した。
この日は、校内で栽培したり加工したりしている野菜や花、お菓子も販売。生徒たちは、物販、調理、食堂での接客の3班に分かれて働いた。
調理の5人は6月、外部団体の「そば道段位認定会」に挑戦し、初段を取った。ただし初回とあって、調理の大半は先生に任せ、かき揚げづくりや、ゆであがったソバを量って盛りつけることが仕事の中心だった。
食堂の受け付け開始は午後0時15分。午前11時半を過ぎると客が集まり始め、正午過ぎには野菜やお菓子の大半が売り切れた。
そこで料理の配膳も前倒しに。2人もしくは3人のグループ客には、五月雨ではなく同時に運ぶ。食べ終わるのを見計らって、そば湯を出す。飲食店でのアルバイト経験者が多く、落ち着いた仕事ぶりだった。
だが、トラブルも起きた。「このかき揚げ、火が通っていない」という声が数人からあがった。材料のタマネギとニンジン、ミズナを「サービスのつもり」でたっぷり入れたことで、レシピ通りの調理時間では足りなかったのだ。
160~180度の油が入った鍋の前に立ち続けた根本羚央(れお)さんは「そばづくりほど練習していなくて、鍋から上げるタイミングが難しかった」、接客班の加藤美空斗(みくと)さんは「みなさん一斉に来たことで、1時間以上待たせてしまった方もいた」、物販の小柴美優(みゆ)さんは「たくさん売れたのはうれしかったけれど、焦って、お釣りを間違えてしまった」と話す。
それぞれが課題を見つけ、次回7月15日に挑むことになった。