企業が退職者を「アルムナイ(卒業生)」と呼び、つながりを継続しようとする取り組みが関西でも広がり始めた。人手不足を背景に、自社の事業や文化を詳しく知る人を貴重な存在と捉え直す動きだ。
サントリーが昨年8月、京都市左京区の複合商業施設「新風館」で開いたクラフトジン「ROKU(ロク)」の拡販イベント。会場の特設バーで提供したオリジナルカクテル「抹茶マティーニ」には、元社員の塚田英次郎さんが手がける抹茶が使われていた。
塚田さんはサントリー時代、清涼飲料の「DAKARA」や「Gokuri」を生み出したほか、社内ベンチャーとして米国の抹茶カフェ事業も立ち上げた経歴がある。2019年に退社し、抹茶の会社を起業していたが、ジンのマーケティング担当の元同僚に声をかけられてイベントに加わった。イベント担当者によると、元社員の塚田さんは企画の狙いなどについての理解が早く、準備がスムーズに進んだという。
何をお願いするにしても、自社で在職経験がある人は話が通じやすく、決定も早くなる。サントリーは現在、アルムナイを社内研修の講師としても活用しており、今後は新規事業開発での提携を増やすことも検討しているという。
23年9月には退職者との交…