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千英宇・元韓国大統領府外交安保首席秘書官=2025年6月3日、ソウル、牧野愛博撮影

 韓国で新たに進歩(革新)系の李在明(イジェミョン)政権が誕生し、任期5年間の対日政策の行方に関心が集まります。保守系の李明博(イミョンバク)政権(2008~13年)で大統領府外交安保首席秘書官を務めた千英宇(チョンヨンウ)氏は、韓国政治に占める日韓関係の特殊な位置づけについて語ります。

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 ――李明博政権は当初、日韓関係を重視しましたが、2011年12月の日韓首脳会談で慰安婦問題の扱いで決裂しました。

 李明博大統領は当時、日本との間で軍事情報包括保護協定(GSOMIA)や物品役務相互提供協定(ACSA)を締結したいと考えていました。

 ただ、同年夏に韓国憲法裁判所が慰安婦問題をめぐる韓国政府の取り組みが不十分だと判断しました。李明博大統領はこの問題に詳しくありませんでしたが、問題解決を求める国内世論に配慮し、日韓首脳会談で野田佳彦首相(当時)に善処を求めました。

 ただ、期待した答えが得られず、韓日関係が冷却化する契機になりました。

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 ――李明博氏は12年8月に…

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