九州出身の山下ますみさん(65)=東京都国分寺市=はもともと、東京大空襲のことをあまり知らなかった。
上京して小学校で司書として働くなかで、戦争の絵本を読む機会があった。「これって本当にあったこと?」。子どもたちはピンと来ていない様子だった。
あるとき、特攻隊員だった父のことも一緒に話してみた。すると、子どもたちが真剣な表情に変わった。戦争は作り話ではなく、実際にあった本当の話だと伝わった気がした。
戦争であったことをもっと知りたい、伝えたい、と思った。ただ、父はすでに他界していた。そんなとき知ったのが、国立市による戦争体験の伝承事業だ。広島市での取り組みを参考に2015年に始まり、伝承者は1年以上の研修を受けた後に、学校などで講話活動を行うというものだった。
8歳のときに亀戸で大空襲に…