2023年8月、埼玉県の第三者機関である男女共同参画苦情処理委員が、浦和や浦和第一女子など12校ある県立の男女別高校の共学化を求める勧告を出した。県教委は8月末までに、苦情処理委員への報告をまとめる。共学化か、別学維持か――。報告を前に、共学化をめぐる議論を追った。
県内に残る県立の別学高校のほとんどが明治、大正時代にできた伝統校だ。長い歴史のなかで、宇宙飛行士の若田光一さん(浦和高)、児童文学の第一人者と呼ばれた故・石井桃子さん(浦和第一女子高の前身・浦和高等女学校)、ノーベル物理学賞を受賞した梶田隆章さん(川越高)ら、各界に著名人を多く輩出してきた。
別学校の卒業生の多くは「文武両道」「自主自立」「自由闊達(かったつ)」といった校風に好意的で、各校は文化祭や体育祭に力を入れているのも特徴だ。
松山高の60キロ駅伝「比企一周駅伝大会」や熊谷高の百人一首、春日部女子高の13キロ持久走、川越高や川越女子高の文化祭での踊り「ハッチ」など、伝統行事といわれるものも多く残る。
「共学化すれば50キロ走る『古河マラソン』や雨天決行の体育祭ができなくなる」。2025年に創立130周年を迎える浦和高で今年3月にあった在校生による県教育委員会への意見表明の場でも、伝統行事を例に出して共学化に反対する声があった。
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