全校生徒で10キロを走る浦和高校伝統の新入生歓迎マラソンを走り終えた生徒たち=2024年5月10日午前11時25分、埼玉県滑川町の国営武蔵丘陵森林公園、杉原里美撮影

 2023年8月、埼玉県の第三者機関である男女共同参画苦情処理委員が、浦和や浦和第一女子など12校ある県立の男女別高校の共学化を求める勧告を出した。県教委は8月末までに、苦情処理委員への報告をまとめる。共学化か、別学維持か――。報告を前に、共学化をめぐる議論を追った。

 県内に残る県立の別学高校のほとんどが明治、大正時代にできた伝統校だ。長い歴史のなかで、宇宙飛行士の若田光一さん(浦和高)、児童文学の第一人者と呼ばれた故・石井桃子さん(浦和第一女子高の前身・浦和高等女学校)、ノーベル物理学賞を受賞した梶田隆章さん(川越高)ら、各界に著名人を多く輩出してきた。

 別学校の卒業生の多くは「文武両道」「自主自立」「自由闊達(かったつ)」といった校風に好意的で、各校は文化祭や体育祭に力を入れているのも特徴だ。

 松山高の60キロ駅伝「比企一周駅伝大会」や熊谷高の百人一首、春日部女子高の13キロ持久走、川越高や川越女子高の文化祭での踊り「ハッチ」など、伝統行事といわれるものも多く残る。

 「共学化すれば50キロ走る『古河マラソン』や雨天決行の体育祭ができなくなる」。2025年に創立130周年を迎える浦和高で今年3月にあった在校生による県教育委員会への意見表明の場でも、伝統行事を例に出して共学化に反対する声があった。

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 同校には、新入生歓迎マラソ…

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