オーストラリア・バレエ団の記者会見から。左からチェンウ・グオ、シルヴィ・ギエム、デビッド・ホールバーグ、近藤亜香=2025年5月、東京都内、吉田純子撮影

 2015年に引退した世界的ダンサーのシルヴィ・ギエムが、オーストラリア・バレエ団の来日公演に出演するダンサーたちの指導者として来日した。「型にはまらず、個性に誇りを持ち、観客や他のダンサーたちと豊かなコミュニケーションができる人を育てることが大切」と、26日に東京都内で開かれた記者会見で語った。

 良き友人である同バレエ団芸術監督、デビッド・ホールバーグに指導を頼まれ、快諾したのは、今回の演目が20世紀を代表する振付家ルドルフ・ヌレエフ(1938~93)版の「ドン・キホーテ」だったから。ギエムは84年、19歳でパリ・オペラ座史上最年少のエトワールに昇格したが、その折の芸術監督がヌレエフであり、その後も互いを最良の理解者とし、コラボレーションを重ねてきた。

 「ヌレエフの知性とウィットは、ダンサーが己の意思で演技をする余白をつくる。キャラクターについて考え抜くダンサーの能動性を育てる」とギエムは語る。

 ともすれば華やかな技巧の陳列になってしまいかねない「ドン・キホーテ」のような作品に、どう人間性を宿らせるか。指導にあたって心がけたのは「ひとりひとりのダンサーに、幸福な気持ちになってもらうこと」という。

 「劇場に来てくださったお客…

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