メイドカフェの聖地の東京・秋葉原。「レジェンド」といわれる人気メイドが防犯活動に力を入れている。アキバの安全に力を入れるきっかけはある事件だった。
レジェンドは「永遠の17歳」のメイド・hitomiこと、志賀瞳さん。2004年、高校生だった志賀さんは、メイドカフェをテレビで見て「ピンクのメイド服が着たい」と憧れを抱いた。開店したばかりの「あっとほぉーむカフェ」でデビューした。
働き始めた当時、秋葉原はまだ「暗い路地裏が多い街」という印象だった。夜に帰宅する時はすでに閉まっている店が多く、路上にはたばこやごみが捨てられているのが目立った。
翌年からその雰囲気は一変する。
AKB、電車男、「萌え~」でアキバの認知度急上昇
アイドルグループ「AKB48」がデビュー、アニメやゲームを好む男性の恋模様を描いたドラマ・電車男がヒットし、アイドル文化や「オタク」文化の発信地としてアキバの認知度が急上昇。JR秋葉原駅の1日平均の乗車人数は、04年度の14万2千人から06年度には20万人を超えた。
メイドカフェを訪れる客層も広がって人気が高まり、hitomiさんの活動も活発に。当時のアキバを象徴した「萌え~」が流行語大賞のトップテンに入り、hitomiさんが加入するメイドグループが受賞した。
サブカルチャーへの理解が広がり、街は活気にあふれた。「もっとアキバを、メイドカフェを多くの人に楽しんで欲しい」と、hitomiさんはごみ拾いなど秋葉原の地域貢献活動にも取り組むようになった。
盛り上がっていたアキバに暗い影を落としたのが、08年6月に起きた無差別殺傷事件だった。
■「秋葉原は怖い町」 事件後…