島根県立大学に対する包括外部監査の結果が10日、公表された。予算執行率が2022、23年度に50%未満だったにもかかわらず、23、24年度に前年度と同額かそれ以上の予算が付いた事業が五つあることが報告された。県包括外部監査人の中井洋輔弁護士は「各事業の予算執行状況を踏まえた予算編成を行っていくことが望ましい」との意見を付けた。
指摘を受けたのは同大の「島根創生を担う人づくり事業」の中の5事業。このうち「高大で連携するバーチャル国際交流」は、22年度の当初予算が30万円だったが執行率0%と全く使われず、23年度も当初予算は30万円で執行率はまたも0%。24年度当初も30万円の予算が付いた。
「高大で連携する大学訪問・学生企画(22年度は大学訪問イベント事業)」は22年度の当初予算が29.6万円で執行率4.7%。23年度当初は前年度の2倍以上の63万円の予算が付いたが執行率は0%。24年度当初予算も前年度と同じ63万円だった。
5事業の未執行額は22年度133.6万円、23年度197.2万円。島根創生を担う人づくり事業の予算総額のそれぞれ7.8%、6.4%を占める。
報告書は「各年度の予算編成の時点で見直しがなされていれば、予算をより必要とする事業への重点配分や新規事業の実施ができたはずだ」としている。県立大は「対応については今後検討したい」としている。
報告書ではほかに、県内就職希望者を対象とする同大の奨学金で、昨年3月に卒業し県外就職した受給者1人について、学長の審査・決定の手続きを経ずに返還が免除されていたと指摘した。
やむを得ない事情として学長が認めれば返還免除できるが、同大によると、受給者は県内就職を希望したものの内定が得られず、やむなく県外に就職。学長も含めた学内の検討で免除を確認したが、文書化していなかったという。