「ケア社会をつくる会」が開いた集会には介護従事者らも参加し、処遇改善を訴えた=2025年5月28日、東京都千代田区、土肥修一撮影

 訪問介護をはじめとして、介護の現場は厳しさを増している。介護職員の処遇改善は待ったなしの状況だ。参院選の公約でも多くの政党が対策に言及している。

 5月下旬、介護関係者らでつくる「ケア社会をつくる会」が衆院議員会館内で開いた集会。与野党の主要な政党の国会議員が顔をそろえ、介護保険制度の改善策などについて同会からの質問に回答した。

 同会の世話人で、訪問介護やグループホームなどの事業を営むNPO法人暮らしネット・えん代表理事の小島美里さんは、こうした集会に与党の議員が参加することは珍しいとした上で「衆院で過半数を割り危機的な状況で、介護保険の問題を黙っていたら危ない、というところがあったのでしょうか」と述べた。

 厚生労働省によると、介護職員の賃金は月30万3千円。全産業平均(38万6千円)と比べて、8万円ほど低い。このままでは他産業への人材流出が進み、人手不足がさらに深刻化するとして、介護関係の団体からは「次の報酬改定を待たずに期中改定を実施し、早急な処遇改善を」との声が強くあがっている。

 立憲民主党、国民民主党らは今年の通常国会で、介護事業者などに対し、従業員一人あたりの賃金を月1万円上げるとする議員立法を共同で提出。ただ、年4230億円かかるとされる財源の裏付けがないなどとして与党側が反発したため、審議入りしなかった。

 自民、公明、日本維新の会の3党は6月、今後の社会保障改革に向けた合意文書の中で、職員の処遇改善について、予算措置を組み合わせて必要な対応を取るなどと盛り込んだ。

 政府の骨太方針では、財政健全化のためこれまで「高齢化による増加分に相当する伸びにおさめる」との基準を示してきた社会保障費について、「経済・物価動向などを踏まえた対応に相当する増加分を加算する」と明記。医療・介護などの分野で働く人たち処遇改善について、2025年末までに結論が得られるよう検討するとした。

 24年度に改定された介護報…

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