住友ファーマの業績が「V字」回復した。13日に発表した2025年3月期決算は、売上高が前年同期比26.8%増の3988億円、本業のもうけを示す営業損益は、前期の赤字3548億円から288億円の黒字に転じ、純損益も前期の赤字3149億円から236億円の黒字となった。営業損益と純損益ともに3年ぶりの黒字転換。売り上げの6割を頼る米国で、前立腺がん治療薬や失禁や頻尿の治療薬などを伸ばした一方で、大幅な人減らしや研究開発費の削減で、収益を改善した。

住友ファーマの大阪本社の銘石

 木村徹社長は東京都内で決算を発表し、「経営危機から脱却し、第一段階は突破した」と述べた。

 経営危機を招いたのは2年前、売り上げの4割を占めるうつ病の治療薬「ラツーダ」の特許が切れたことだ。北米での独占販売が終わり、後発薬メーカーが同じ薬を出せるようになると、ラツーダの北米での売り上げは23年3月期の1985億円から、24年3月期は3%ほどの67億円に激減。経費の削減が追いつかず、大幅な赤字に陥った。

 会社を支えるような新薬を次々と製品化することは簡単ではない。経営危機後に経営を託された木村社長は、主力製品を大リーグ・ドジャースの大谷翔平選手にたとえて、「大谷さんがいなくなった後に、大谷さんを探すというのがよくなかった」と振り返った。

 25年3月期の業績が急回復…

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