中国電力島根原発2号機(松江市鹿島町片句)が7日、約13年ぶりに再稼働した。今月下旬から発電を始め、来年1月上旬にも営業運転を始める予定だ。ただ、重大事故の発生時にスムーズに避難できるのか、不安をもつ住民は多い。市民団体による再稼働への抗議集会も各地で開かれた。
「サン、ニイ、イチ、ゼロ」。7日午後2時58分、島根原発の中央制御室。運転員がカウントダウンに合わせ、原子炉モードスイッチを「起動」に切り替えた。
そして2分後の午後3時、原子炉内の核分裂を抑える制御棒の引き抜き操作を開始。2号機は2012年1月の定期検査で停止して以来、約13年ぶりに再稼働した。
中央制御室の様子は、原発構内の別室で報道機関に生中継で公開された。
この日、中国電は運転員11人態勢で臨んだ。うち7人は運転未経験者。中央制御室では島根原発の岩崎晃所長や原子力規制庁の職員らが運転を見守るなか、制御棒を1本ずつ引き抜く作業を続け、午後4時50分、核分裂反応が継続的に起こる「臨界」に到達した。
再稼働後に報道陣の取材に応じた三村秀行・島根原子力本部長は「最終的な発電再開までにはステップがたくさんある。引き続きしっかり一歩ずつ進めていきたい」と述べた。
中国電は、今月中旬にいったん原子炉を停止し、1週間ほどかけて設備・機器の点検、検査をする。その後、ふたたび原子炉を起動させ、来年1月上旬の営業運転開始を目指す。
島根原発で重大事故が起きた場合、原発から30キロ圏内の住民約45万人が広域避難の対象となる。避難計画では、まず5キロ圏内の住民約8700人が放射性物質が放出される前に避難を始める。
だが、原発近くの松江市鹿島町佐陀本郷で運送業を営む平塚義夫さん(54)は「地震が起きれば、道は崩れる」と避難計画の実効性に疑問を持つ。事務所前を通る県道37号は避難路に指定されている。しかし、一帯は軟弱地盤。今でも地盤沈下で路面が波打っている。
これまで島根県や松江市などに避難路整備を幾度となく訴えてきたが、改善されないという。「本来は住民の安心安全を確保してから再稼働するのが筋。順番を間違っていないか」と憤る。
原発から5~30キロ圏では…