東京都中央区のシンボルとして知られる「銀座の柳」。区内の呉服店「銀座もとじ」は、この銀座の柳を原料にした草木染に取り組んで、今年で30年。そんな歴史を記念する展示が4月5日から3日間、同店で開かれる。銀座の柳、実は朝日新聞とも浅からぬ縁があって――。
銀座には古くから柳の街路樹があった。明治初期、欧米をまねて木々を植えるため選ばれたのが柳で、街の名物として定着していったのだという。
銀座もとじの創業者、泉二弘明(もとじこうめい)会長が柳の美しさに引きつけられたのは、1993年のこと。当時、銀座1丁目の柳通りにあった店舗の前には垂れ下がった柳があった。見上げると、黄緑色の若葉が風に揺られ、輝いていた。ちょうど「銀座ならではの何かができないか」と考えていた時で「柳の命をつなぎとめたい」との思いで草木染を考案した。それまで柳を処分していた区に交渉し、店に無償提供してもらう仕組みを作った。以来、毎年、春から初夏に伸びる枝葉を刈り込んで全国の染織家に送り、創作を依頼している。
活動を引き継いだ泉二啓太社…