長崎県佐世保市の小学校で2004年6月1日、6年生だった御手洗怜美(さとみ)さん(当時12)が同級生の女児に殺害されてから20年を迎えた。事件が起きた大久保小学校では1日、20回目となる「いのちを見つめる集会」が開かれた。児童や教職員、保護者ら約160人が集まり、命の尊さへの思いを新たにした。
集会の冒頭、黒田優一校長(52)が、20年前に怜美さんが亡くなったことなどを伝え、「命は一人に一つしかない。だからこそ一つの命を大切にしなければならない」と児童らに語りかけた。
8年前から、事件の概略は「児童の心的ストレスの軽減を図るため」として説明していない。
その後、各学年の代表の児童らが「いのちはひとつ。たいせつにします」(1年生)、「自分のいのちもみんなのいのちも大切にします」(4年生)などと大きな声で「決意の言葉」を発表。教職員や保護者、地域の代表も児童に決意などを語った。事件当時の児童らが作詞作曲した「大切な友達」も斉唱した。
黒田校長は集会後、記者団に「20年が経ち、事件当時を知っている人は少なくなっているが、教職員は毎年、事件の報告書を確認している。事件を風化させないことが大事。二度と悲劇を繰り返さないよう教育活動を進める」と語った。(上沢博之)
遺体に手を合わせた記憶 元校長が教訓を著書に
学校や佐世保市は20年間、事件の教訓を風化させないよう努めてきた。
同市は事件後、6月1日を「いのちを見つめる日」、6月を「いのちを見つめる強調月間」(今年から「いのちかがやく強調月間」と改称)と定めた。毎年、市立小中校などで校長が「いのちの講話」を行うほか、家庭・地域と連携して道徳授業の公開などを続ける。
2014年から4年間、大久保小で校長を務めた小林庸輔さん(66)は事件当時、市教委学校教育課主幹だった。
事件の発生を受け、同校に急行。凄惨(せいさん)な事件現場を目の当たりにした。
女児の遺体に「学校は楽しく…