スマートフォンの利用をめぐって、愛知県豊明市では「過剰使用」を防ぐ独自の対策が条例案に盛り込まれた

 余暇の時間にスマートフォンを使うのは1日2時間までを目安に――。愛知県豊明市が25日、スマホの「過剰使用」を防ぐ独自の対策を盛り込んだ条例案を市議会に提出した。市は「目安」と強調するが、行政が個人の自由時間に口出しする動きを懸念する声もあり、賛否は割れている。

 条例案は、スマホやタブレット端末による過度な動画視聴などが、睡眠時間や家族間の対話の時間の減少につながるなど「特に子どもの健全育成を阻害するおそれがある」として、対策を講じるとする。次のように定めている。

 ・「余暇時間」でのスマホ使用について、1日2時間以内を目安とする

 ・子どもの睡眠時間の確保は心身の成長に不可欠。小学生以下のスマホ使用は午後9時まで、中学生以上18歳未満は同10時までを目安とする

 ・保護者は子どもをスマホの過剰使用から守る第一義的責任を有することを自覚し、家族全体で適正使用への理解を深めるよう努める

 公共の利益のため自治体が目標を定めるいわゆる「理念条例」の案だが、市がホームページで公表して以降、市役所には25日昼までに電話やメールで120件ほどの意見が寄せられた。

 市秘書広報課によると、肯定的な意見は少なく、「なぜ条例でスマホ使用を制限するのか」「市が家庭のことに踏み込むのはおかしい」といった批判的な内容が大半を占めたという。

高校生「ルールによる制限仕方ない」の声も

 市民はどう受け止めたのか。

 小学2年生の娘がいる女性(45)は、娘が1歳のころから家事で手が離せないときなどにスマホを手渡し、子ども向けの動画を見せてきた。

 「あまり良いことではないとは思っていたが、子どもにつきっきりになってしまって、スマホがないと他の用事ができない」と話す。

 最近では、ゲームをしたり動画を見たりする際には、「1日1時間以内」を条件にスマホを子に渡しているという。

 「それぞれの家庭で事情はあるので、市が一律にルールを決めるのはどうかと思うが、子どもにスマホとの付き合い方をどう教えるか考えていかないと……」と話す。

 市内の高校に通う男子生徒(…

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