マイナンバーシステムが自治体の現場で機能していない実態が15日に公表された会計検査院の調査で明らかになった。2022年度に半数以上の自治体が活用したのは1258機能のうち33機能(3%)のみ。河野太郎デジタル相は、自治体への聞き取りを行う考えを示している。この問題をどう見るか。元会計検査院官房審議官の星野昌季弁護士に話を聞いた。
マイナンバーシステムには2149億円もの国費が投じられている。さらに、マイナンバーカードやマイナポータルなどの関連事業も含めれば、整備には既に1兆円を超える莫大(ばくだい)な額の予算が投じられているという。ほとんどの地方自治体で税金の減免など約1100の機能が利用されていなかったという実態を知って、納得する国民はいないだろう。
くわしい原因分析と検証が必要だが、マイナシステムの構想自体が設計過大であった可能性もあるのではないか。
私の検査院時代の経験では、霞が関では地方の実情を理解していない官僚が政策立案に当たったとしか考えられないようなケースがたびたび見受けられた。丁寧に自治体の意見を聞くという姿勢がなく、アリバイ作りのために形式的に意見を聞いただけとしか思えないようなケースもあった。
今回のケースを考えても、そ…