アフリカ各国の首脳らと開発をテーマに議論するアフリカ開発会議(TICAD9)が8月に横浜市で開かれる。成長性豊かなアフリカと日本はどう向き合うべきか。マリ出身で元京都精華大学学長のウスビ・サコさん(59)に聞いた。
- アフリカが直面する課題とは 根深い不平等や貧困、弾圧に広がる抗議
――1993年に始まったTICADは今回で9度目の開催です。日本とアフリカの関係は発展してきたと思いますか。
日本でアフリカと言えば、昔はひとくくりに「未開の社会」「貧困」「教育レベルが高くない」といったものでした。今は「アフリカが多様である」ことは理解してもらえるようになりましたが、その中身までは十分伝わっていないと感じます。
アフリカには「遠い」イメージがあるかもしれませんが、日本に来て、むしろ近しい価値観を持っていることに気づきました。自然崇拝やお年寄りを重んじること、相手への気遣いなど、実は欧州よりも近いと思います。日本の発展を模倣したいと思っている国は多い。日本は、自分のファンが多いことに気づいてほしい。
多様化する来日の理由
――サコさんが来日した91年と比べ、日本でもアフリカにルーツを持つ人は増えてきました。
当時は出稼ぎ労働者やミュー…