トランプ米政権は、カンボジアのような小国にも高関税を課しました。同国王立アカデミー傘下のシンクタンク「国際関係研究所」のキン・ピア事務局長は、保護主義は「強国にのみ有益だ」とし、後発開発途上国(LDC)の経済発展のためにも自由貿易体制を堅持すべきだと訴えます。
――「相互関税」で、米国はカンボジアに49%の関税を課しました。
カンボジアは2029年までにLDCを脱する見通しで、50年までに高所得国へと移行する目標を掲げています。そのためには、経済や開発協力の相手を多様化する必要があります。現在は投資元として中国に、輸出先として米国に大きく依存しており、その構図の改善が求められていました。
相互関税を受けて、カンボジアへの投資を再考する動きが出てくるでしょう。事業を縮小、停止する企業もあるかもしれない。カンボジア産の太陽光パネルに3500%超の関税が課されるなど、特に米国を主要市場とする企業にとっては不確実性が高い。もしそうなれば、多くの人が失業し、経済は打撃を受けます。
- 太陽光パネルに関税3521% 「迂回輸出」標的にするトランプ政権
問題は、これが(米中対立という)地政学的な試練であることです。象同士(米中という両超大国)の戦いで被害を受けるのは足元に生える草。すなわち、我々小国です。
――米国は現在、最大の輸出相手です。
トランプ政権による高関税政策を地政学的な試練と位置づけるキン・ピア氏。記事後半では、カンボジアが中国と関係を深める理由や、後発開発途上国にとって自由貿易体制を維持することの意味を論じます。
発展途上の小国にとって、米…