2025年4月26日、バチカンのサンピエトロ広場で行われたフランシスコ教皇の葬儀=AP

 ローマ・カトリック教会のフランシスコ教皇の26日の葬儀では、信者が中国語で祈りを捧げる場面があった。一部の欧米メディアは、教皇の葬儀で中国語が使われるのは初めてとし、ローマ教皇庁(バチカン)と国交のない中国との関係改善に取り組んだ教皇に敬意を示したと伝えている。

 教皇の葬儀はラテン語とイタリア語で進行した。中国語が使われたのは、教皇の功績をたたえるレ枢機卿の説教の後にあった「普遍の祈り」の場面。フランス語やドイツ語、アラビア語などで短い祈りを捧げた信者のうちの一人が中国語の信者だった。米CNNや英紙テレグラフによると、教皇の葬儀で中国語の祈りが読み上げられたのは初めてという。

 バチカンと中国は1951年に国交を断絶。中国では政府公認のカトリック教会が独自に高位聖職者である司教を任命したため、「ローマ教皇のみに任命権がある」とするバチカンが反発してきた。バチカンは欧州で唯一、台湾と外交関係を持っている。

 しかし、フランシスコ教皇の下で、バチカンは中国との関係改善を模索。2018年には、バチカンが中国の任命した司教を事実上承認する2年間の暫定合意が成立した。その後、20年と22年に2年間ずつ延長し、昨年10月には4年間の延長で合意した。

 フランシスコ教皇は生前、中国訪問に意欲を示していた。23年にモンゴルを訪問した際には、中国の信者に向けて励ましのメッセージを送っていた。

 台湾の中央通信社などによると、台湾側は今回の教皇の葬儀をめぐって、頼清徳(ライチントー)総統の参列をバチカンに打診したが実現しなかった。頼氏の特使として、陳建仁・元副総統が派遣された。

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