映画「にあんちゃん」や「愛の亡霊」などで知られ、テレビドラマでも長く活躍した俳優の吉行和子(よしゆき・かずこ)さんが2日、肺炎で死去した。90歳だった。葬儀は近親者で営んだ。
1935年、東京都千代田区生まれ。女子学院高校在学中の54年に劇団民芸の水品演劇研究所に入った。衣装や舞台美術を学ぶつもりだったが、俳優として頭角を現し、57年に「アンネの日記」で初主演を果たした。69年に退団後は小劇場へ活動を広げ、30代後半で売春婦の娘役をした73年初演の「蜜の味」が評価された。
炭鉱町の保健師に扮した映画「にあんちゃん」などで59年に毎日映画コンクール助演女優賞。大島渚監督がカンヌ国際映画祭で監督賞を受賞した78年「愛の亡霊」では、浮気相手と共謀して夫を殺す妻を演じた。米アカデミー賞外国語映画賞を受けた2008年の「おくりびと」にも出演。「3年B組金八先生」「ふぞろいの林檎たち」などドラマも数多く出演した。
エッセイストとしても知られ…