俳句時評 岸本尚毅

 歌壇俳壇面で月1回掲載している、俳人の岸本尚毅さんによる「俳句時評」。今回は俳句甲子園を取り上げます

 八月下旬、松山市で全国高等学校俳句選手権大会(俳句甲子園)が開催された。地方大会を含めると全国から七十八校、約五百名が参加。作品と鑑賞を競う団体戦で名古屋高校が優勝した。

 同校との決勝戦で、準優勝校の興南高校(那覇市)は〈蜜豆の缶ずつしりと栄作忌 澤村裕大〉を披露。一九七五年夏に逝去した佐藤栄作は沖縄返還に尽力した。作者が沖縄の人だからこそ「蜜豆」に象徴される平和な日常が尊い。

 この句は、決勝戦の課題の「…

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