健大高崎―花巻東 一回裏花巻東2死一塁、古城を遊ゴロに打ち取り、声を出しながらベンチに戻る先発の山田=白井伸洋撮影

 第97回選抜高校野球大会第9日の26日、連覇を狙う健大高崎(群馬)は第1試合で花巻東(岩手)と対戦し、9―1で快勝した。2年連続の準決勝進出。一回に適時打2本で2点を先取するなど前半で5点を奪い、八回に3点適時三塁打などで4点を挙げて突き放した。準決勝は大会第10日第1試合(28日午前11時試合開始予定)で、秋の関東地区大会決勝で敗れた横浜(神奈川)と対戦する。

 ◎…健大高崎は序盤から攻め立てる。一回表、1番打者の石田雄星(2年)が四球を選び犠打で二進。3番秋山潤琉(ういる)(3年)は「甘い球は全部仕留める」。初球から真ん中寄りの直球を振り切る。鋭い打球が遊撃手のグラブをはじいて安打となり石田が生還。電光石火の攻めだった。

 続く2死一、二塁の好機で6番杉山翔大(3年)が変化球をとらえて中前安打を放ち、2点目。「前の打者がつないでくれた。1点だけでなくもっと取るという気持ちがヒットになった」と杉山。

 続く佐藤麻恩(2年)が鋭い打球を放つが、右翼手が飛びついて好捕。

 甲子園が沸く。流れは、断ち切られた。

 ◎…再び流れをたぐり寄せたのは、三回表だ。2死二塁。1、2回戦で計4安打している栗原朋希(3年)が左前へはじき返し、3点目。

 そして四回表、2死二、三塁の好機で再び秋山。変化球を捉え、強い打球が中前へ。2点適時打となり、一塁ベース上でベンチに向けて高々と人さし指を挙げた。「チームバッティングを心掛けた結果」と語った。

 青柳博文監督は前夜、選手らに「5、6点取らないと勝てない」と鼓舞していた。その5点を前半で奪う展開となった。

 ◎…先発マウンドには甲子園初登板の山田遼太(3年)。直球と複数の変化球を制球よく投じて四回まで無失点。五回裏には適時二塁打を浴びて1点を奪われるが、落ち着いて後続2人をピシャリ。山田は「点を取られるのは仕方ない。せめて最少失点で」と投げた。捕手の小堀弘晴(3年)は「試合を作ってくれてナイスピッチング」とねぎらった。

 継投した島田大翔(3年)も甲子園初登板。六回裏、いきなり四球を出すが、三塁手として途中出場した伊藤大地(3年)が続く4番打者の鋭いゴロを好捕し、併殺に仕留めて救われた。青柳監督も「あの守備は大きかった。抜けていたらまた変わった展開になっていた」と評した。

 島田は「直球は良かったが、変化球の精度が悪かった。2人目の右投手として自分の良さを出していきたい」と言う。

 八回表、加藤大成(3年)の適時三塁打などで4点を奪い突き放す。その裏から背番号1の石垣元気(3年)が継投。甲子園最速タイとなる155キロの速球を投じると、この日も甲子園をどよめかせた。開幕前に左脇腹を痛めたが「ほとんど100%に近いくらい治っている」と石垣。山田、島田について「本当に頼もしい」と仲間の好投をたたえた。

 ○加藤大成主将(健大高崎) 「1、2回戦と打線がパッとしなかったので、もう一度個人個人で修正した。4強だが、目の前の1戦をやりぬくだけ」

 ○青柳博文監督(健大高崎) 「選手に連覇の重圧を意識させているが、気にしていないと思う」。準決勝以降の石垣元気の先発について「十分あると思う」。

 ●中村耕太朗主将(花巻東) 「相手のやりたいように試合を進められてしまった。投手陣を底上げするなど、夏に向けてレベルを上げていきたい」

 ●佐々木洋監督(花巻東) 「立ち上がりに四球を出し、打ち取った当たりが安打になる不運もあり、初回で流れをつかめなかった。相手の力が上だった」

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