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心電図の波形
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 健康診断で心電図異常が指摘されると、軽度でも心不全や脳卒中、心筋梗塞(こうそく)を発症するリスクが上がると、京都大と米ハーバード大などの研究チームが明らかにした。全国健康保険協会(協会けんぽ)の約370万人分の健康診断や診療報酬明細書(レセプト)のデータを分析した。

 研究成果が1日付の国際医学誌に掲載される。ほとんどが症状のない一般健診の集団レベルで、これほど大規模な研究は極めて珍しい。

 心不全と脳卒中、心筋梗塞は、頻度が高い重篤な病気の代表格。世界的にも死因の上位を占め、30~70歳でも年600万人が死亡しているとされる。

 心電図の異常には、心房細動など重度のものから、軽度なものまで70種類以上あり、医師が波形を見て判断している。心電図の異常所見と、これらの病気との関連は、症状がある個人レベルでは指摘されてきた。だが、欧米では定期的な心電図検査が推奨されていないこともあって、一般健診の集団レベルではよくわかっていなかった。

 研究チームは、協会けんぽのデータから、2016年に心電図検査を受け、心不全と脳卒中、心筋梗塞の既往がない35~65歳の約370万人を、21年まで5年間追跡したところ、約16万9千人がこれらの病気を発症していた。検査で正常だった人(77.7%)、軽度異常が一つ見つかった人(16.8%)、軽度異常が二つ以上見つかった人(3.9%)、重度異常が見つかった人(1.5%)にわけて、発症リスクを調べた。

 その結果、軽度異常が一つの人、二つ以上の人、重度異常が見つかった人はそれぞれ、正常な人に比べて、脳卒中と心不全、心筋梗塞を発症するリスクが1.19倍、1.37倍、1.96倍となり、統計上、明らかな差が出た。

 軽度異常が将来の重度異常に…

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