荒浜磯獅子踊を収録したカセットテープ=仙台市歴史民俗資料館所蔵

 東日本大震災の津波でまちごと無くなってしまった仙台市若林区・荒浜地区。ここに100年ほど昔に途絶えた「荒浜磯獅子踊」という郷土芸能があった。わかっていることは多くはない。その獅子踊の再生に挑む人たちがいる。

 6月中旬の荒浜。海の近くの集落跡の一角で、獅子たちが踊った。

 ピーヒャラ、ピーヒャラ、ドンドコドン

 手作りの獅子頭と太鼓を身につけて、勇ましくもコミカルに、謡(うたい)と笛の音に乗り跳ねたり回ったり。恋仲の牡(お)獅子と牝(め)獅子が草むらで再会するも、横恋慕した狂い獅子が現れて……。そんな物語だという。

獅子踊の荒浜での披露。元住民が流された家の跡に建てた集会施設が、会場になった=2025年6月14日、仙台市若林区、石橋英昭撮影

 実はこの日踊ったのは荒浜磯獅子踊ではなく、名取市の無形民俗文化財「熊野堂十二神鹿踊(じゅうにじんししおどり)」の演目だ。「本家」にはまだ、たどりつけていないのだ。

音が割れていたテープ でもよく似ている

 主人公の牡獅子役は庄子隆弘…

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