新型コロナの給付金の支給対象からデリバリーヘルスの事業者が除外されたことをめぐる訴訟で、最高裁は6月、不支給を合憲とする判決を出しました。理由の一つに挙げられたのが、デリヘルの業務が働く人の「尊厳を害するおそれがある」という理屈です。「ひきこもり名人」として活動する勝山実さんは、この判決がデリヘルで働く人に向けるまなざしは、ひきこもりに向けられてきたまなざしと似ていると言います。
「働けない」に苦しんで
働かないで生きています。高校生の時に不登校になり、その後、大学進学を目指して3浪したもののうまくいきませんでした。もがいた末に、31歳で精神障害者の手帳を取得し、年金を受給できるようになりました。それまで「働けない」自分に苦しんだけど、この時から「生きていけるか分からないけど、働かない」と決めています。
働かない者は「対等な人間ではない」「尊厳がない」ということが、社会で共有されていると感じてきました。ひきこもりに向けられる社会からのまなざしと、コロナ給付金をめぐる最高裁判決で裁判官がデリヘルで働く人に向けたまなざしとは重なって見えます。どちらも「本来はあってはならない人たち」なんでしょうね。
条件付きの尊厳
この社会は「働けない」はま…