一般社団法人「がんと働く応援団」(神奈川県厚木市)が、冊子「働く女性のための がん防災マニュアル」を作った。3冊まで冊子代無料で送付するほか、公式サイトからダウンロードもできる。卵巣がんや乳がんを経験した女性たちが「役に立つ、正しい情報を知ってほしい」と、医師の監修を受けて作成した。
「がん防災」という言葉を使うのは、がんも災害と同じように事前の備えがあれば害が少なくできるという発想からという。
冊子の前半は「普段の備え編」で、子宮頸(けい)がんや乳がんなどの予防と検診についての基礎知識とお金の情報。後半は「いざという時編」として、診断された後の相談先や情報収集の注意点、仕事に関する対処法、妊娠・出産への影響、外見(アピアランス)ケア、子どもの預け先といった説明を記載している。
乳がんや悪性リンパ腫の体験者による、脱毛やわが子への対応なども取りあげている。腫瘍(しゅよう)内科医の押川勝太郎医師らが監修し、短いアドバイスも載っている。また、各ページや巻末で信頼できるウェブサイトの2次元バーコード、電話番号などを紹介している。
20~40代にがん、女性の方が多い
団体は、30代で卵巣がんを経験し、2人の子どもの預け先や仕事で悩んだ吉田ゆりさん(43)が、40代の会社員のときに乳がんと診断された野北まどかさん(53)と共に、自らの経験や反省を生かしてもらおうと始めた。
4年前に仕事と治療の両立にも役立つ冊子「現役世代のための がん防災マニュアル」を作成。その後、中小企業の経営者向けの冊子も作った。20~40代はがんと診断される女性が男性よりも多いことから、新たに女性に焦点を当てたバージョンを作ることにした。
野北さんは「20~40代でがんを意識する人は少なく、突然の診断で正しい情報や相談先が見つからない人もいる。母親や親戚など、上の世代が紹介する形でも良いので、この『防災マニュアル』を紹介して広めてほしい」
冊子は31ページ。3冊まで無料(送料別)。ダウンロードを含めて情報は公式サイト(https://www.gh-ouendan.com/)から。