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「専用席」の存在を示すステッカー=2025年5月15日午後2時22分、札幌市西区発寒6条9丁目、太田悠斗撮影
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 スーツや制服姿の乗客で混み合った地下鉄で、ぽかんと空いた場所がある。連結部分近くに設置された4人掛けの青い「専用席」だ。

 札幌市営地下鉄に専用席が設置されてから、半世紀が経つ。

 対象は高齢者や乳幼児を連れた人、ヘルプマークの所持者や妊娠した女性らで、「優先席」と同じ。ただ、優先ではなく「専用席」としているのは、全国でも珍しい取り組みだ。

 朝、宮の沢方面へ向かう東西線に乗ると、対象者が代わる代わる専用席に座っていた。

 席の窓に貼られたステッカーには、対象者がピクトグラムで示され、車内アナウンスでも「青色の座席はお年寄り、体の不自由な方などの専用席になっております」と協力を呼びかけている。満席になることはなかった。

 南北線の専用席には、視覚障害がある萬和雄さん(80)と、ガイドヘルパーの坂下幾美子さん(68)が乗っていた。

 「座れる確率が高いんです」と坂下さん。付き添いで地下鉄に乗る際、必ず専用席を目指すという。「(利用者が)立っているときふらっとなったら、支えられないかもしれない」

 萬さんは「専用席という名前のお陰で、胸を張って座れる」と話す。

 導入のきっかけは市民の声だった。

 札幌市交通局によると、市営…

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