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優勝旗を手に行進する大阪桐蔭の選手たち=シティ信金スタ、有元愛美子撮影
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 168校155チームが参加した第106回全国高校野球選手権大阪大会は、大阪桐蔭の2年ぶりの優勝で幕を閉じた。大会の熱戦を振り返る。

 昨夏は決勝で履正社に敗れた大阪桐蔭。両チームは今大会、準決勝で激突した。「大阪2強」と言われるチーム同士の戦いは、大阪桐蔭が一、二回といずれも打者一巡の猛攻で計11点を挙げ、いきなり突き放した。さらに12点目はスクイズで決め、5回コールド勝ち。猛打の中に堅実さも織り交ぜた試合運びだった。

 チームは7試合で78安打、打率3割8分4厘、55打点。守りは失点が10、失策は1と、攻守ともに安定した戦いぶりだった。

 3、4番を打った徳丸快晴(3年)は打率5割8分3厘と存在感を示した。大会途中から先発で主軸も任されるようになった背番号13の内山彰梧(しょうご)(3年)は、チームトップの11打点と勝負強かった。

 2年生も、投手の中野大虎(だいと)は準決勝の履正社戦で先発を任され5回を2失点、森陽樹(はるき)は決勝の東海大大阪仰星で起用され9回を完投、15奪三振と活躍した。登録された選手20人は全員、1度は試合に出場しており、層の厚さが目立った。

 39年ぶりに決勝に進んだ東海大大阪仰星は、3人の投手起用で勝ち抜いてきた。決勝では壹崎(いちさき)晃心(こうしん)(3年)が緩急をうまく使って7回を3点に抑え、2番手の野本海翔(かいと)(3年)は残り2回を3人ずつで抑えた。4番の藤田心一(しんいち)(2年)は4打数4安打。3―1で勝った準決勝の大商大戦でも2打点の活躍だった。

 昨夏の覇者、履正社は準々決勝までの5試合を無失点、無失策。うち4試合をコールド勝ちした。戦いぶりは機動力を生かしたもので、準決勝までの6試合で計34盗塁を記録した。大阪産大付との準々決勝では、主将の村田駿(3年)が3盗塁を決めるなどして試合を優位に進めた。

 大商大は2試合で逆転勝ちし、4強入り。興国との4回戦では九回裏、主将の坂下澄歩(とあ)(3年)が適時二塁打を放って逆転サヨナラ勝ちするなど勝負強さが光った。

 一方で、春季近畿地区大会府予選で履正社と大阪桐蔭を相次いで破って優勝した大阪学院大は、初戦で同志社香里に1―2で競り負けた。その同志社香里も次の試合で高槻北に4―5で敗れた。夏を勝ち抜く厳しさがうかがえた。

 公立校のチームも奮闘した。高石、大塚、豊島、桜宮の4校が16強入り。豊島は部員28人で勝ち上がった。エースの村山豪生(ごうき)(3年)は「どれだけ緊張していても、自分は絶対できる!と思い込んだ」と明かしてくれた。いかに自分や仲間を信じられるか。大切なのは技術だけじゃないと改めて知らされた大会だった。

 いよいよ舞台は甲子園へ。2019年の履正社以来、大阪勢5年ぶりの全国制覇の夢を乗せ、大阪桐蔭が夏13回目の甲子園に挑む。=敬称略(西晃奈)

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