国立ハンセン病療養所「長島愛生園」の回春寮。島に来た患者を収容し、検査や診察などが行われた隔離の象徴とされる=2024年12月12日午前、岡山県瀬戸内市、田辺拓也撮影
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 旧優生保護法(1948~96年)が違憲とされ、ハンセン病や遺伝性疾患などを理由に優生手術(不妊手術)や人工妊娠中絶の被害に遭った人たちへの国の補償が1月に始まっている。ハンセン病関連は優生手術1551件、中絶7696件。補償対象者の記録を調べた国立ハンセン病療養所「長島愛生園」(岡山県瀬戸内市)の山本典良園長は「届け出られた数よりも実態は多い可能性がある」と指摘する。

 国が公表している手術数は「衛生年報」や「優生保護統計報告」などをまとめたもので、都道府県に当時届け出があった法施行の翌年から改正までの統計数。

 同期間に実施された優生手術について愛生園が1月、一部の結婚関連資料490件を調べた結果、「手術施行済」といった記載がある文書が男性だけで少なくとも126件が確認された。国の統計によると、愛生園がある岡山県では男女を合わせても計33件だった。

 山本園長は4月末発行の愛生園の機関誌で調査結果を公表する。

「手術実施済み」カルテに記載しない医師も

 それによると、山本園長は1…

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