第19回朝日アマチュア囲碁名人戦全国大会(朝日新聞社、日本棋院主催)は、東京都代表の元アマ名人、栗田佳樹さん(26)が復活の栄冠を手にした。6大会ぶり2度目の優勝を遂げ、今度は6期ぶりのアマ名人復位をかけて夏冰(かひょう)アマ名人(32)に挑戦する。
鮮やかな復活劇だった。2018年の第13回大会優勝時は東京理科大1年の19歳。もともとプロをめざし16歳まで日本棋院の院生(プロ候補生)だった。果たせずアマ囲碁界に現れるや、このアマ名人戦を皮切りに学生棋戦や一般棋戦でタイトルを取りまくった。
第13回大会は優勝の勢いを駆って当時の大関稔アマ名人(30)との三番勝負も制した。しかし翌19年、雪辱を期して挑戦者に名乗りを上げた大関さんに敗れ、失冠。それからほぼ毎回全国大会に出場するも、最高で8強どまり。ついには昨年の前回大会では初戦で敗れ、今大会のシード権を失っていた。
今大会は有数の激戦区・東京都大会から出直した。決勝で世界アマ選手権2度優勝の平岡聡さん(54)を破り全国復帰。今月5、6日にあった全国大会も快調に勝ち進んだ。決勝の相手は第13回大会と同じ、招待選手の星合真吾さん(30)。星合さん得意の荒技を封じて快勝した。「(アマ名人戦と並ぶ)アマ本因坊戦では東京都大会で負けてるんで。その分、この大会にかけていました」
栗田さんはプロ囲碁史にも名を刻んでいる。5年前、七大タイトル戦で唯一アマ出場枠がある棋聖戦で、予選を勝ち抜きアマ初のCリーグ入り。リーグ戦も3勝2敗で勝ち越し、残留を決める離れ業を演じた。
当時の快進撃が念頭にあるのだろう。「完全に状態が戻ったわけではありません。ちゃんと復活できるよう、夏冰さんとの挑戦手合に向けて準備します」。完全復活をかけた三番勝負は19、20日、東京・市ケ谷の日本棋院東京本院「幽玄の間」で打たれる。
栗田さんは1回戦から6連勝して優勝を果たした。「全体的に内容がよかった」。その中からシノギの妙技を見せた宮城県代表、五十嵐(いからし)成也さん(23)との準決勝のハイライトを紹介する。
黒9ツグ(4)
実戦図 栗田さんの白番。下…