タイ新首相のアヌティン・チャーンウィラクン氏(58)
事業家出身で、実利を重んじる。保守系の中規模政党「タイ名誉党」の党首として2019年の民政移管後の歴代連立政権に参画し、好機をうかがってきた。首相が2年続けて失職する混乱のなか、最後は下院解散の確約などと引き換えに革新系野党の支持を取り付け、トップの座をつかんだ。政治に安定をもたらせるかが当面の課題だ。
大手ゼネコンの創業者で、タクシン政権崩壊後の混乱期に首相代行などを務めたチャワラット氏を父に持つ。米国の大学で工学を学び、父の会社を継ぎ、1997年のアジア通貨危機や、その後の大不況に対処した。
政界入りした当初は、タクシン元首相が率いた政党に所属。党が解党を命じられた際、自身も公民権を5年間停止された。その後は、タクシン派の後継政党とたもとを分かって父が結党した名誉党へとくら替えし、2012年から党首を務める。
自身の名前にちなんでつけられる愛称は、タイ語でネズミを意味する「ヌー」。その名の通り、好機を嗅ぎ分け、確実にものにすることを身上とする。
常に権力の中枢に
軍事クーデターを経て実施さ…