日韓が領有権を争う竹島(島根県隠岐の島町)を警備していた韓国人男性が、同町に移り住み、1本のドキュメンタリー映画「空と風と星と島」を撮影した。町民たちの穏やかな日常をメインに、その生活に垣間見える竹島とのつながりを描く。
撮影したのは、韓国・仁川出身の金明允(キムミョンユン)さん(33)。兵役で2012~14年、竹島(韓国名・独島(トクト))、鬱陵島(ウルルンド)に警備隊員として駐留し、分隊長も務めた。元々映画好きで、竹島で毎週木曜の夜にあった警備隊の上映会では作品選びと説明を担当していた。
竹島は同世代と夢を語り合った青春時代だという。「星空も、空も風も隠岐と変わらない」と話す。
兵役後、映画監督を目指して16年に来日。日本映画大学(川崎市)で学び、東京のドキュメンタリー制作会社に就職。その後、日本人女性と結婚した。
あるとき、取材で隠岐の島町を訪れた。かつて警備任務に就いていた竹島は同町に属し、「竹島は日本固有の領土です」と書かれた看板が立つ。「独島警備隊員だった人がこの町に住んで映画を撮れば、どんな作品ができるか。自分自身が見たかった」。韓国映画振興委員会(KOFIC)に企画書を出したところ、助成金が出た。内容に注文はなかったという。
24年3月、竹島で漁労をしていた人たちが住んでいた隠岐の島町久見に妻子とともに移住。地域おこし協力隊員として町のPR動画も制作しながら、映画撮影を始めた。
映画で主に映し出されるのは…