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小松大谷―創成館 一回裏創成館無死、打席に立つ峯孝汰=加藤哉撮影

 (5日、第107回全国高校野球選手権1回戦 創成館3―1小松大谷)

 創成館(長崎)の1番打者で中堅を守る峯孝汰選手(3年)は背中を追いかけてきた兄2人に続き、甲子園の舞台に立った。

 長兄、周汰さん(28)は2015年に、高校日本代表にも選ばれ、今も社会人野球を続ける次兄、圭汰さん(24)は18年に、いずれも創成館の中堅手として夏の甲子園を経験した。

 峯選手は小学生の時に甲子園でプレーする兄たちの姿を見て、創成館に進学することに憧れた。父の孝征さん(56)は「2人と比較される。やめた方がいい」と伝えたが、「比べられてもいい。創成館で野球がしたい」と思いは揺るがなかった。

 だが、入学後は苦難が続いた。

 1年の時はレギュラーになれず、2年の時も左手首を骨折。チームは2年連続で夏の甲子園に出場したが、自身はスタンドから応援することしかできなかった。骨折から復帰後は寮の仲間がまだ寝ている早朝にティーバッティング。練習が終わってからも素振りを繰り返した。

 技術を磨いて迎えた最後の夏はレギュラーとして、長崎大会の全5試合に出場。チーム最多の9安打を放ち、チームを3年連続の夏の甲子園出場に導く原動力になった。

 悩んだ時に兄2人に相談すると「思い切ってやれ」などと前向きな声をかけてくれた。時には打撃の動画を送って助言をもらうことも。「兄たちはじめ家族には感謝しかない。甲子園でプレーする姿を見てもらいたい」という一心で高校野球と向き合ってきた。

 この日、スタンドで試合を見守った周汰さんは「自分が出場した時より、どきどきします」。圭汰さんは「気分はベンチでの応援」と言い、「孝汰」と大声で叫んで弟に声援を送った。同じくスタンドで峯選手のプレーを見守った父の孝征さんは「よくここまでがんばった。最後の夏、悔いのないよう、思い切りやってほしい」と話した。

 この日の「甲子園初戦」は無安打に終わった峯選手。「よし、やってやると力が入りすぎた。次に結果を出すことが、家族への恩返しになると思う」と、次戦での活躍を誓った。

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