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事故現場に貼り出された遺族の思い。「孫達を溺愛(でき・あい)していた母」とある=2024年6月22日、札幌市西区、新谷千布美撮影

 法廷で再生されたドライブレコーダーの映像からは、被告のパニック状態が伝わってきた。

 「キャー、助けて!助けてー!」

 傍聴席からは音声だけが聞こえる。被告は悲鳴を上げていた。

 ブレーキとアクセルを踏み間違えて車を暴走させ、3人を死傷させた自動車運転死傷処罰法違反(過失運転致死傷)の罪で、札幌地裁は7月、札幌市の女(81)に禁錮2年6カ月(求刑禁錮4年6カ月)の実刑を言い渡した。

 被告は家族から運転免許の自主返納を促されていたという。

 黒色のシャツとスカート姿で出廷した被告は、足元がおぼつかないように見えた。机に手をつきながら証言台に向かった。

高齢ドライバーによる運転操作ミスで1人の命が失われた事故。裁判では、被告が普段から慎重な運転を心がけていたことが明らかになりました。記事の後半では、専門家に高齢者が運転する上で注意すべきことを聞いています。

 被告は2022年8月1日、青信号の横断歩道を自転車で渡っていた藤田明美さん(当時70)をはねて死亡させた。その後もアクセルを踏み続け、時速約136キロまで加速。対向車と衝突し、男性2人にけがをさせた。

 弁護人「事故前はどのように運転していたか」

 被告「公道では時速40~5…

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