原爆で被災した旧長崎医科大学(現・長崎大医学部)を舞台にした小説を、神戸市の児童文学作家、鳥居真知子さん(73)が出版した。戦時中、長崎医科大に進学した主人公が、被爆後の長崎で救護活動をする様子などを描いた。当時救護にあたった実在する人物も登場し、長崎原爆にまつわる史実も学べる。
今月1日、長崎大で開かれた医学部医学科の新入生オリエンテーション。新入生約120人に、鳥居さんの小説が贈られた。
「新入生の皆さんへ」と書かれた、鳥居さんの手紙も添えられ、「医療活動と平和運動は、『人の命』を守るという意味で同じ目標だと思います。皆さんがこの両輪を駆使して、未来に向かってご活躍されますことを願います」などと記されていた。
鳥居さんはこれまで、自然や民族文化などを題材にした作品を書いてきた。原爆をテーマに小説を執筆したきっかけは、2022年のロシアのウクライナ侵攻だった。
「核の脅し」など核使用のリスクが指摘されるなかで、日本に投下された原爆の問題を詳しく知りたいと思うようになったという。
ラジオで聴いていた「長崎の鐘」
鳥居さんは幼いころ、ラジオ…