精神疾患のある人が、入院しなくてもいいケアを地域の草の根運動から――。そんな志を持つ精神科医やソーシャルワーカーらが、支援者をつなぐネットワークを立ち上げました。目指すのは、精神疾患をどう治すかではなく、どう生きるかを重視する「リカバリー」志向の支援です。

  • 誰のためか問い直し、ビジョンと哲学ある精神保健医療を 医師に聞く

 「今の精神保健医療福祉は、精神疾患のある本人のニーズに十分にこたえているでしょうか」

 名古屋市内で昨年11月にあった「一般社団法人地域精神保健サービス提供者日本ネットワーク」(JCOMHS=ジェイコムズ)の設立総会。理事長で精神科医の伊勢田堯(たかし)さん(83)は、全国から集った医師や看護師、精神保健福祉士、保健師、自治体職員ら計約40人に語りかけた。

昨秋にベルギーを訪れた医師や看護師とともにベルギーの精神医療について語り合う伊勢田堯医師(中央)ら=東京都

 そしてこう続けた。

 「医師が病気を治さなければ…

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