鵬翔の後藤浬久選手(左)=2024年7月9日午後0時38分、アイビー、中島健撮影

(9日、第106回全国高校野球選手権宮崎大会1回戦 都城9―0鵬翔)

 全力疾走、全力プレー。「鵬翔野球を体現した存在」と久保直樹監督が信頼を置く中堅手の後藤浬久選手(3年)。この日、三振してもダッシュでベンチに戻り、点差が開いても外野の守備位置から声を張り上げた。「自分が全力でやれば、みんなついてきてくれる」

 けがで出られない大会で誘導員を買って出たが、スタンドで暇を見つけて鉄アレイを持ち上げていたという努力家だ。

 初回に2点を失い、三回2死一、二塁のピンチ。右中間を抜けそうな打球を好捕し、傾きかけた流れを食い止めた。

 打線は相手エースを打ちあぐねたが、五回には安打で出塁。宮川颯太選手(2年)のセーフティーバントの間に三塁に進み、チャンスを広げた。都城に徐々に点差を広げられたが、逆転を疑わず、声を張り続けた。

 毎回、外野の守備につくとき、バックスクリーンの方に一礼した。試合前、チームのスローガン「気合と根性」を監督に書いてもらった帽子のつばを見て、力をもらっていたのだという。

 勝敗が決し、ベンチ前で相手の校歌を聞く間、涙が止まらなかったが、「全力でやりきりました」。最後は笑顔で高校野球に終止符を打った。(中島健)

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