学校法人清光学園は、岡崎女子大学(愛知県岡崎市中町1丁目)を2026年度から男女共学にし、名称も「岡崎大学」に変更すると発表した。併設の女子短期大学も共学化する。近年、各地で女子大の共学化が進むが、その背景には女性の学びのニーズの多様化や少子化がある、と識者は語る。
法人は1924年に幼稚園運営から始まり、幼稚園教員らの育成を目的として65年に女子短大を設置。2013年に4年制の女子大学を開学した。
保育士や小学校教員の育成をメインとした教育・保育系の大学だが、現在の学生数は212人と定員の5割強であり、短大も定員の6割強にとどまるという。
新井美保子副学長は、「性別で区別する時代ではなく、幼児教育の現場でも男性の指導者が歓迎されている」と共学化の意義を説明する。共学化に合わせ、取得できる教員免許の種類も増やす方針という。
少子化で学生数が減るなか、女子大は減っている。愛知県内では、桜花学園大(豊明市)が24年度から、名古屋女子大も25年度から共学化する。
武庫川女子大教育総合研究所(兵庫県)の集計によると、女子大のピークは1998年の98校。86年の男女雇用機会均等法の施行を背景に女性の4年制大学への進学率は上昇し、短大進学率と逆転した。ただ、それ以降は共学化や閉校で減り続け、23年には73校になった。
研究所の安東由則教授(教育社会学)は少子化に加え、進学や就職に対する女性の考えの変化が背景にある、とみる。
卒業後の進路や働き方が多様になったのに伴い、家政系や人文系に偏りがちだった女子大より、幅広い学部がある共学の大学が選ばれる傾向が強まっているという。
「女子大離れは今後も続くだろう」と安東教授。一方で、「クラブ活動も校内イベントもすべて女性の手で運営するからこそ、既存の男女の社会的役割に縛られないリーダーシップを育めるとの見方もある」と、女子大の存在意義を語る。
「女子大が生き残るには、今の学生、ジェンダー観に響く形で、自分たちがどんな教育をするのかアピールしていく必要がある」