全国の渓流で近年、ニジマスをよく見かけるようになった。明治時代に入ってきた外来種で、大きいものだと70センチ近くまで成長し、釣り人の人気が高い。一方、日本固有種のヤマメなどを脅かすとして生態系への影響を懸念する声もある。分布拡大を制限し、適切な管理が求められる環境省の「産業管理外来種」に指定されているが、河川などを管理する漁業協同組合では、「駆除」と「共存」で対応は分かれる。ニジマスの扱いをどう考えればいいのか。
岐阜県高山市の奥飛驒温泉郷を流れる神通川の支流・蒲田川は、ヤマメや大型のイワナが釣れることで人気が高い。ヤマメの稚魚や発眼卵を放流するなど増殖にも努めてきた。だが、2010年代に入り、ニジマスの姿が目立つようになった。
漁業権を設定する高原川漁業協同組合(同県飛驒市)によると、00年代初頭まで、定期的に開かれる「釣り大会」向けにニジマスを放すこともあったが、増殖対象からは除外していた。
ところが、蒲田川の一部区間に設定された、釣った魚をその場で逃がす「キャッチ アンド リリース区間」を中心に、釣れる魚の半分以上がニジマスになった年もあった。同漁協参事の徳田幸憲さん(63)は「誰かが密放流した可能性が極めて高い」とみる。
ニジマスとヤマメは…特別許可で釣りしたら
区間内にどれくらいの割合で…