展示される作品の一つ、「入道雲映る雨晴海岸の夏」氷見線(富山県)(C)、Cマーク、サークルC、著作権中井精也
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 3月の北陸新幹線延伸で、富山県は、新たな開業区間がないこともあってか、北陸3県の中では、延伸に関連した催しは少なめだが、全国を旅した気分にもなれるという写真展が開催中だ。

 新高岡駅から車で約20分。高岡市の「ミュゼふくおかカメラ館」では、延伸を記念した「中井精也写真展 ゆる鉄絶景100」が開催中だ。

 NHKの鉄道番組などで知られる鉄道写真家の中井さん(56)が、沿線の風景や、鉄道とともに生きる人々を捉えた数ある作品の中から、厳選した100景が並ぶ。中井さんは「日本一周をした気持ちになってくれたらうれしい」と話す。

 富山からは4点、石川が1点、福井は1点を展示。パンフレットにもなっているJR氷見線「雨晴駅」付近の作品は、青空と白い雲、赤いディーゼル列車が、水鏡となった富山湾の海面に映し出されている。

 通常は立山連峰を背景にした撮影が多いが、あえて逆側の能登半島方向を撮影したという。

 石川からは、のと鉄道の列車の背景に七尾市の能登島にかかる「ツインブリッジのと」が映える絶景ポイント。福井からは、えちぜん鉄道三国芦原線の列車が白虹をくぐるような不思議な景観の写真だ。

 中井さんは富山を「鉄道王国」と表現する。北陸新幹線▽風光明媚(めいび)な氷見線▽味わい深い車両と駅が今も残る富山地方鉄道▽富山市の中心市街地を巡る路面電車▽日本で数少ないナローゲージの黒部峡谷鉄道のトロッコ――鉄道の魅力が詰め込まれているというのだ。

 石川と福井は、北陸鉄道や福井鉄道もあり、能登半島地震で被災したのと鉄道には復旧後に乗車し、頑張って走る姿に勇気と感動をもらったという。「地域密着型の鉄道が頑張っているのは、鉄道ファンとしてうれしい限り」と話す。

 6月16日まで。月曜休館(祝日の場合は翌平日)。入館料は一般1千円、高校・大学生400円、中学生以下無料。5月24~26日は、中井さんが会場を訪れる。問い合わせは同館(0766・64・0550)。(朝倉義統)

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 新高岡駅近郊では、砺波市で「となみチューリップフェア」が5日まで開催。会場の一つ、砺波市美術館では、延伸を記念した福井県立恐竜博物館(同県勝山市)とのコラボ企画が人気だ。

 同館の恐竜の化石標本など7点を展示。会場正面の1・8メートルの複製頭骨は、陸上動物で最大の頭骨を持つと言われる草食恐竜トロサウルスのもので、大きさに圧倒される。

 大きなかぎ爪と長い後ろ足が特徴の「フクイラプトル・キタダニエンシス」は福井県で発掘された肉食恐竜。初めて全身骨格が復元されたことで知られる。名前は「北谷で見つかった福井の泥棒」との意味を持つ。

 触ることのできる化石もある。恐竜のフンの化石は大きさ約20センチ。肉食か草食かは分かっていないが、子どもたちがおそるおそる触ったり、においをかいだりして楽しんでいた。

 博物館の研究員・安里開士(あさとかいと)さん(33)は「身近に楽しんでいる花たちは、恐竜時代に進化した存在だと考えられています。美しいチューリップの花たちと共に、恐竜時代を少しでも体感していただければ」と話す。

 観覧にはとなみチューリップフェアの入場券が必要。高校生以上1500円、小・中学生200円(5日は小・中学生無料)。=おわり(法野朱美)

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