グラウンドを走る都立青鳥特別支援学校の選手たち=2025年6月23日、東京都世田谷区、岡田昇撮影

 知的障害のある生徒が通う特別支援学校として昨年、高校野球の地方大会に全国で初めて単独出場した都立青鳥(せいちょう)特別支援学校(東京都世田谷区)が、2度目の夏を迎える。野球経験のある新入部員も増え、初勝利をめざして練習に励んでいる。

 6月29日、青鳥特別支援は都立足立新田との練習試合に臨んだ。徐々に点差を広げられた。それでも、選手たちは気迫を失わなかった。

 打球に飛びつく好捕を見せた二塁手の上野空虎選手(1年)は、昨夏の青鳥特別支援の試合を球場で見た。ひとつアウトを取る度に、歓声が上がるスタンド。「球場の雰囲気に驚いた。楽しそうに野球をしているこのチームで、自分もやりたいと思った」。自宅がある東京都日野市から、片道2時間かけて通学する。

 先発バッテリーを組んだ禰宜田翔投手と沢田奏空捕手も1年生。2人とも、野球経験者だ。禰宜田投手は小学校3年生で野球を始め、中学では硬式野球をしていた。昨夏の戦いぶりをユーチューブで見て「失敗しても、みんなで声を掛け合うチームワークにひかれた。青鳥で野球がしたいと思った」。

 女子部員も加わった。小山紫織さん(1年)は元々、体を動かすのが大好き。ユーチューブで昨夏の試合を見て「暑くて大変そうだけど、楽しそう」と入部した。今までキャッチボール程度しか野球をしたことはなかったが、「ボールをとれたとき、手に衝撃が走る。それが、うれしい」。西東京大会では記録員として、ベンチから選手たちを励ます。

 昨夏の西東京大会は0―66で敗れた。秋の都大会1次予選も0―66で初戦敗退した。

 だが、今春の都大会1次予選では、単独チームになってから公式戦で初めて得点を挙げ、1―37だった。ホームを踏んだ八木秋大主将(3年)は「これが1点。点をとるのって、こんなに難しいんだ」と感じたという。

 得点力アップに向け、日々の練習では交代で打撃マシンを打ち込んでいる。「大切なのは繰り返しやること。この子たちは習得するまでに時間はかかるが、定着力はある」と久保田浩司監督(59)は話す。

 6日の西東京大会初戦の相手は都立上水だ。八木主将は「今年は1年生も多くて、元気なチーム。限界まで頑張って、悔いのない大会にしたい」。小野路GIONベースボールパーク(東京都町田市)で午前11時半、プレーボールの予定だ。

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